モーターのベアリングから発生する正常な音はどのようなものですか?

モーターのベアリングから発生する正常な騒音はどのようなものですか?

モーターベアリングの騒音は常に多くのエンジニアを悩ませる問題です。前回の記事でも触れましたが、モータのベアリングの騒音は言葉では言い表せないため、モータ技術者の判断に悩まされることが多いです。
しかし、長期間にわたる現場での実践と、モーター軸受の知識の習得と分析により、現場で役立つ多くの判断基準が得られます。例えば、ベアリングの「定常音」とはどのような「音」でしょうか。

「異音」のないベアリングはあるのでしょうか？

ベアリングの騒音をどのように除去するかという質問がよくあります。この質問に対する答えは、それを完全に排除することは不可能であるということです。ベアリング自体の動作には必ず「ノイズ」が発生するからです。もちろん、これは主に次のような正常に動作しているときのベアリングの状態を指します。
「異音」のないベアリングはあるのでしょうか？無負荷領域における転動体と軌道面の衝突 01

ベアリングの転動体はベアリング軌道内を走行します。転動体が無負荷領域を走行すると、転動体はラジアル方向またはアキシアル方向に軌道に衝突します。これは、転動体自体が負荷領域を出て一定の線速度を持っているためです。同時に、転動体には一定の遠心力が生じます。軸回りに回転すると軌道面に衝突し騒音が発生します。特に非負荷領域においてクリアランスが残っている場合、このような衝突音は顕著に顕著となる。
「異音」のないベアリングはあるのでしょうか？転動体と保持器の衝突02

保持器の主な機能は、転動体の動作をガイドすることです。転動体と保持器との衝突も騒音の発生源となります。このような衝突には、円周方向、半径方向、場合によっては軸方向の衝突が含まれます。運動状態の観点から見ると、転動体が荷重ゾーン内で保持器を積極的に押すときの衝突が含まれます。保持器が非負荷領域で転動体を押すときの衝突。遠心力による転動体と保持器とのラジアル方向の衝突。外乱や、軸方向移動時の転動体と保持器の衝突などにより、「騒音」のない軸受はあるのでしょうか？転動体撹拌グリース03

軸受にグリースを充填すると、転動体の動作によりグリースが撹拌されます。この撹拌により、対応する騒音も発生します。
「異音」のないベアリングはあるのでしょうか？軌道面内外の転動体の滑り摩擦 04

転動体が負荷領域に入ると、転動体と軌道との間に一定の滑り摩擦が生じます。また、荷重ゾーンを離れるときに、ある程度の滑り摩擦が発生する場合があります。
「異音」のないベアリングはあるのでしょうか？ベアリング内部のその他の動き 05

ベアリングリップとシールの摩擦も騒音の原因となることがあります。
要約すると、これらの転がり軸受が通常の状態で動作すると、必然的にある程度の「騒音」が発生することを見つけるのは難しくありません。したがって、最初の質問に対する答えは次のとおりです。転がり軸受の場合、固有の「通常の騒音」を除去することは不可能です。

では、モーターのベアリングの正常な音はどのようなものでしょうか?

前の分析から、これらの運動状態は衝突や摩擦によりノイズを生成することがわかります。通常の適切なベアリングの場合、これらのノイズが速度に密接に関係していることを見つけるのは難しくありません。例えば、転動体が負荷域に出入りする際の摩擦、負荷域内外での転動体と保持器の衝突、グリースの撹拌、シールリップの摩擦などが変化します。速度の変化。モーターが一定速度にあるとき、これらの動きは安定した状態にあるはずです。したがって、このときの軸受励起音は安定した均一な音となるはずです。このことから、ベアリングの正常な騒音は、安定して均一であるという基本特性を備えている必要があると推測できます。ここで言う安定性や均一性は、連続した音ではありません。衝突などの多くの運動状態が次々に発生するため、これらの音は安定した小周期音です。もちろん、シールの摩擦音などの連続音も含まれます。特定の干渉がある場合など、実際の使用状況でも、ノイズはある程度安定して均一に見えます。ただし、この種のノイズは、ベアリングが持つべき周波数とは異なることがよくあります。したがって、現場で軸受騒音を判断する場合には、安定性や均一性に加えて、異常のない周波数（聴感）を加算する必要がある場合が多いです。